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あなたが英語できないのは日本語→英訳しやすい日本語の翻訳ができないから

学習・英語

私のツイートを発端とする一連の会話です。

これ、ある程度英語が出来る人には「あるある」なんですが、まず「あるある」だと思わない人に「何故そんなことを考えないといけないのか?」を説明します。

Grammatically correct/Semantically correct

具体例で説明します。ある人に「忍者さんこれ英語でどう言うんですか」と聞かれました。本人曰く、「私はそれをしなければならなかったですか?」。特定の状況下の質問のようなので「なんでそれを聞く必要があったのか、状況を教えて?」と聞き返したところ、打てば響くように解が返ってこなかったことに不満を抱いたようで「もういいです」されてしまいました。

英語自体は難しくはありません。しなければいけない→taskとして、Was it my task? とかで大丈夫です。しかし、彼の状況を鑑みればおそらく一旅行者として手続きに不備があり、窓口で「これやらないと入国出来ないよ」などと言われたのではないかと推測します。そうであればやらなかったのが(発話時点で)過去であっても、必要とされているのは(発話時点の)今であり、手続き変更がなければ近い未来にも引き続き適用されるtaskなので、過去の時制を使うのは逆に誤りとなり、Is it my task?の方が適切になります。

さらに言うなれば、残念なことに「これをやれ」と言われて、「これをしなければいけないんですか?」と聞くのは意味がないです。Yes/No質問だけどYesしか返ってこない。
英語翻訳には「grammatically correct(文法的に正しい)」と「semantically correct(意味的に正しい)」という概念があります。ここでIs it my task?というgrammatically correctな文章を言ったところで、semantically wrongです。だから両方を満たす英文を提示するためには「semanticな状況を教えて?」と聞く必要があるのです。

質問者が大元のトリガー会話をちゃんと覚えていれば、例えば「提出用紙を書いてないと通せないよ」と言われたのであれば「What paper? I haven't received.」はその場で聞くべき質問ですが、「やれ」「やるの?」では正直、馬鹿だと思われるだけだからしない方がいいです。コミュニケーションに失敗したことが英語の失敗と結びついて、英語アレルギーが増すから。

The bean sprouts has fast foot?

もう少し簡単な例をあげます。例えば、「足がはやい」という言葉を考えてみましょう。
He has fast foot.が間違っていることは中学校英語をやっていれば誰にでも分かりますね。英語では「足が早い」ではなく「早く走る」という言い方になります。それをさらに「このもやしは足が早い」などと言えば、そりゃあ非日本語圏人に意図が通じないのは当たり前です。

足が早い→傷みやすいとして、「傷みやすいって傷つきやすいってことか」とThe bean sprouts are naive.などと言うとさらに「英語でおk」感が満載になってきます。
Google翻訳の精度が上がったので傷みやすい=perishableが出てきます。これを使えばいいんですが、一応これは高校英語で習わない単語です ※英語漬け.com調べ)

こういうのであってもgrammatically correctではあります。なので、机上の英語学習をしていたらこうなってしまうのかもしれないますが、もちろんsemantically wrongです。

英訳しやすい日本語への変換脳を鍛えるには

本題に入りましょう。今回id:KoshianXさんからは以下のご要望を頂いております。

鍛えるトレーニング法は明解ですよ。心の中の幼女を育てろ

この幼女は「○○ってなーに?」と問いかけてきます。それに対してこうだよ、と説明していくうちに、分かりやすい・伝えやすい・言わなければいけないことの中核が見えてきます。
1日1回、この心の中の幼女に話しかけて育てていきましょう。話しかける内容はその日あったことで構いません。また、この幼女は日本語話者で構いません。日本語変換脳のトレーニングなので。

例えばこんな会話です。
忍「日曜日に地震が来るって言われてたけどこなかったよ」
幼「地震ってなーに?」
忍「地面が揺れる自然現象のことだよ」
幼「誰がくるって言ってたの?」
忍「ニュースだよ。いるかが大量に打ち上げられたんだ」
幼「いるかってなーに?」
忍「海に住む哺乳類だよ」
幼「いるかが打ち上げられると地震が来るの?」
忍「そう言われているね。地震の前触れのひとつとされているよ」
幼「いるかさん打ち上げられたら死んじゃったの?」
忍「そうだねえ。救助の人がある程度助けたみたいだけどね」
幼「かわいそうだねー」
忍「そうだねえ」
幼「地震がこないとおにーちゃんはどうなるの?」
忍「どうもしないよ。地震がこないのはいいことなんだよ」
幼「そっかー。よかったねえ」
忍「そうだねえ」

イルカ160頭打ち上げ!ゲリー・ボーネルの予言は当たるのか? - NAVER まとめ

 

会話は最終的に納得と共感で終わらせてあげてください。幼いとはいえ、彼女も女性です。共感は大事なのです。
幼女は育っていくので、同じような会話のたびに「地震ってなーに?」と言わせる必要はありません。また、幼女の質問が鋭くなればなるほど、貴方自身の着眼点も鋭くなっていくと言えるでしょう。

 

似たようなことを解説している本が「「魔術」は英語の家庭教師」です。

Amazon.co.jp: 「魔術」は英語の家庭教師: 長尾 豊: 本

曰く「心の中に使い魔を飼う」「それを毎日呼び出して英語で話しかける」(という内容だったように記憶している)。

言語で表現されるものには、文化によって異なるモノと、国がどうであれ人間であれば変わらないモノがあります。例えばご飯を食べなきゃ生きていけないし、ご飯のもとになる農作物が天候に影響を受けるとか、指は基本的に5本だとか、手でつかむ・足で走るというような動作だとか。
魔術というのはそういう言語の表層を取っ払った根幹の思考で操るので、使い魔を育てるのがマルチリンガル中間言語脳の育て方に近い所にくる、という趣旨です。

 

トレーニングの方に話を戻しましょう。根本的に日本語変換が上手くいかないのは「聞き返されることを想定していない」からです。一番最初の例の人は「しなければいけなかったですかを英語でなんて言うんですか?」に対し「それを言わないといけない状況を教えて」と聞き返され、「もういいです」で引きさがりました。つまりそういうことです。

余談

「忍者さんはこんなことやってたの?」と聞かれたらやってません。「背景の異なる人に物事を説明し、自分の望むアクションを取らせる」というのはコミュニケーションの目的そのものであり、ITの上流と言われる領域で稼いでたら日頃から鍛えられていく能力だからです。言ってしまえば40、50代のおっさんどもなんか幼女みたいなもんですよ。

「幼女を育てる」はこしあんさん向けのソリューションですが、いわゆる世間一般の人は「転職の時に相手企業の人事や現場の方に自分の経歴を説明する」ような意識で日々の仕事をやっていけばいいんじゃないでしょうか。
そして私が年に数回咀嚼しているこのエントリに回帰します。

付録

しなければならない=have to, mustという思い込みの人がいます。そうなってしまうと、例えば「何々できる」は常にcanを使うことになるので文章の自由度が下がります。しなければならない=仕事や義務=taskやdutyという名詞や、can→capability、need→necessityと変換するということを知っていると幅が広がります

下記に英語助動詞言い換えの例を書いておきます。もちろん状況により、semanticにおかしくないものを採用してください。

  • can 出来る
    →capability(能力、可用性)、know the method/procedure(やり方を知っている)、have time to do(する時間がある)
  • can not 出来ない
    →impossible(不可能)、don't want to do(したくない)、don't have the ability(能力がない)、too busy(するには忙しすぎる)
  • must ~ねばならない
    →duty/obligation(義務)、task(仕事・務め)、be obligated to do(義務を負う)
  • must not ~してはいけない
    →prohibition(禁止)、not allowed to do(許可されない)、don't(するな)
  • need ~する必要がある→
    Necessary(必要)、necessity/required(必要な)、demand(要求)
  • need not する必要がない→
    unnecessary/needless(不要)、meaningless/nonsense(無意味)、unprofitable(儲からない)
  • will するつもりだ→
    be thinking of doing(しようと思っている)、ready to do(用意が出来ている)、plan to do(する予定だ)、arrange a [目的語]([目的]を準備する)

だいたいは対応する名詞があるのでそれをパーツとして文章の組み換えが出来ますね。willだけは名詞としても使えるので特殊ですが。